メタボリックシンドロームとは?
LDLコレステロールが高い人は動脈硬化の病気(心筋梗塞など)が起こりやすくなります。
このことは古くから知られていて、確かにその通りです。しかしこの逆は真ではありません。
心筋梗塞を起こした人たちは必ずしもLDLコレステロールが高くないのです。この不思議は
コレステロールパラドックス(コレステロールの矛盾)と呼ばれてきました。
この矛盾を解くためにいろいろ研究がなされ、その原因としてメタボリックシンドロームが
提案されました。メタボリックシンドロームでは、動脈硬化はLDLコレステロール以外の
原因で促進します。残念なことにメタボリックシンドロームの考え方は世界的に統一された
ものでなく、国によって考え方が異なります。
日本の考え方は、メタボリックシンドロームの中心に内臓脂肪の蓄積を置いています。
たまたま動脈硬化のリスクが重なったのではなく、内臓脂肪の蓄積が諸悪の根源になって、
いろいろの動脈硬化のリスクを増やしているのです。メタボリックシンドロームでは内臓脂肪
の量が大切なのですが、内臓脂肪の量は簡単には測れません。そのため腹囲が基準に
なっていますが、腹囲は大雑把な目安でしかありません。
メタボリックシンドロームの診断基準
腹囲(男性85cm以上、女性90cm以上)が必須項目です。これは内臓脂肪面積100平方cm
以上の目安です。
これに、高血糖(空腹時血糖110mg/dl以上)、血圧高値(最高血圧
130mmHg以上、または/かつ 最低血圧85mmHg以上)、血清脂質異常(中性脂肪150
mg/dl以上、または/かつ HDLコレステロール40mg/dl未満) の3項目のうち2つ以上がある
場合をメタボリックシンドロームと診断しています。LDLコレステロールが基準に入っていま
せんが、これは上に説明したように、他のリスクと一緒に変動しないからです。
メタボリックシンドロームの診断基準はかなり大雑把です。
たとえば腹囲はもっとも重要な基準ですが、同じ腹囲でも実際の「内臓脂肪面積」は
人によってさまざまです。
ですから、基準から少し外れていてもメタボリックシンドロームの
可能性は残りますし、その逆もあてはまります。判定が微妙なときは(基準からわずかに
外れていても) 生活習慣をきちんと確認するのが良いかもしれません。