院長ログ

糖尿病と認知症 (2)

糖尿病では認知症が〜2倍起こりやすいと言われていますが、糖尿病になっていなくても平均血糖と認知症が関連するという報告(NEJM2013)がありました。


人数は2,067人です(男性839人、女性1228人: 平均76歳)。平均6.8年観察したところ、(1) 糖尿病がなくても、平均血糖が高い人は認知症リスクが高く(115mg/dlの人は100mg/dlの人より1.18倍リスクが高い)、(2) 糖尿病の人では、平均血糖が高くなるとリスクも高くなりました(190mg/dlの人は160mg/dlの人より1.40倍リスクが高い)。


一方で、糖尿病の人の認知症リスクの計算を試みた成績も発表されています(Lancet2013)。糖尿病に関連した認知症のリスク計算について初めての論文です。

29,961人、平均年齢70.6歳の集団です。10年の観察期間中に、5,173人が認知症と診断を受けました。認知症と最も関連したのは、最小血管症、糖尿病性足病変、脳血管疾患、心血管疾患、急性代謝異常イベント(重篤な低血糖や高血糖)、うつ状態、年齢、教育レベルでした。糖尿病罹病期間やHbA1c自体よりも、最終臓器障害の方が認知症と関連していました

認知症を予防するには「最終臓器障害を減らす」こと、すなわち糖尿病慢性合併症の予防に力を注ぐのが良いでしょう。そのためにはHbA1cだけでなく、血圧や脂質なども含めた総合的な糖尿病管理をお勧めします。


平成25年8月31日
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