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SGLT2阻害薬は癌にも効く?

SGLT2阻害剤はブドウ糖共役輸送担体2(SGLT2)の働きを阻害する薬です。SGLT2は腎臓の近位尿細管に多く、SGLT2が阻害されるとブドウ糖の再吸収が抑えられます。その結果、尿糖が増え、最終的に血糖が下がります。

SGLT2阻害剤にはカナグル、フォシーガ、ジャディアンス、ルセフィ、スーグラ、デベルザ、アプルウェイなどがあります。

今回はSGLT2阻害剤の抗癌作用について紹介します(Biomedicines 2023)。

SGLT2は種々の癌細胞にも発現していることが分かってきました。世界で初めて癌細胞にSGLT2が発現していることを発見したのは広島大学の石川先生です(Jpn J Cancer Res 2001)。

肺癌原発巣と転移巣でSGLT1はそう変わらなかったのですが、転移巣でSGLT2が多く発現していたのです。その後多くの癌細胞でSGLT2が発現していることが分かってきました。

癌細胞はエネルギー供給の多くを解糖系(ブドウ糖代謝系)に依存していますSGLT2が発現している癌細胞にSGLT2阻害剤を使うとブドウ糖取り込みが阻害され、エネルギー供給が制限されます

さらには癌細胞の増殖に必要な他の代謝信号系(PI3K/AMPK系など)もSGLT2阻害剤が抑制することが分かってきました。

SGLT2阻害剤の抗癌作用について研究が進行中です。基礎研究では、膵癌、前立腺癌、乳癌、非小細胞性肺癌、甲状腺癌、肝細胞癌、骨肉腫などで検討されています。

臨床面では、他の癌治療法と組み合わせることで治療成績を向上させることが期待されています。現在10本の治験が行われているそうです。

SGLT2阻害剤が抗癌作用を発揮するには、目的とする癌細胞にSGLT2が発現しているかどうかが重要かもしれません。一般的なFDG-PET検査でなく、SGLTに特異的なME4FDGを用いたPET検査が有用かもしれません。

SGLT2阻害剤の効果は一部の癌に限られるかもしれませんが、副作用が少ない薬ですので、治療効果がはっきり分かると良いですね。


令和5年11月14日

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