院長ログ

PREDIMED研究の論文修正

以前にPREDIMED研究(NEJM 2013)を紹介しましたが、データの集め方に問題があり、解析方法を修正して再発表されました(NEJM 2018)。数字を捏造したのでないので論文修正が認められたのでしょうが、本来、あってはならないことです。

PREDIMED研究は地中海食、特にオリーブオイルやナッツ類の効果を調べた研究です。ランダム化研究だったのですが、「ランダム化して割り当てる」作業をしなかった施設がありました。このランダム化というのは、食事療法を割り当てる時に「偏りがない」ように割り当てることです。

手順に違反していたのは施設B, 施設Dです。その他に家族425人も含まれます。家族というのは、同じ家庭に属する2人目の人です。食事療法の研究ですので「食事を共にする同じ家庭の2人に異なった食事療法を割り当てる」ことができません。そのため、2人目の登録をランダム化せず、1人目と同じ食事を割り当てていました。この割り当て方が手順違反です。

ランダム化研究でなくなりましたので論文の質評価は少し落ちますが、幸い結論は同じでした。

旧論文で、
心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、心血管死)リスクが
  地中海食オリーブ油群で0.70(0.54-0.92)、
  地中海食ナッツ群で0.72(0.54-0.96)に減少でしたが、

新論文でも、 
  地中海食オリーブ油群で0.69(0.53-0.91)、
  地中海食ナッツ群で0.72(0.54-0.95)でした。

またランダム化しなかった1588人を除いても同様の結果でした。地中海食は健康に良さそうです。


平成30年8月1日

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