どの程度の食塩摂取が健康に良いか (3)
次は日本人糖尿病患者の成績です(J Clin Endocrinol Metab 2014)。
この論文(JDCS研究)は、40-70歳、HbA1cが6.5%以上の糖尿病患者 1,588人を分析しています。食事アンケートに基づいてナトリウム摂取量(食塩摂取量)を推定しています。
ナトリウム摂取量を4分位に分けると、平均摂取量は1日2.8-5.9g(食塩7.1-15g相当)でした。全体でみると、心血管系疾患のリスクは、ナトリウム摂取量が多くなるにつれて増えました。ナトリウム摂取量が一番少ない群を基準(リスクが 1)にしますと、第2-4分位群のリスクは1.70、1.47、2.07でした。ナトリウム摂取量は 特にHbA1c 9.0%以上の群で劇的な影響がありました(第4分位のリスクが、第1分位を基準として 9.91)。
この研究では、集団の1/4に満たないHbA1c 9.0%以上の群が全体の結果を決めています。大多数を占めるHbA1c 9.0%未満の群では、食塩摂取量が増えても心血管系疾患のリスクが増えていません。HbA1c 9.0%以上の群は、9.0%未満の群と全く異なった性格を持っているようです。
糖尿病コントロールの悪い方はどうぞ良いコントロールを目指してください。なおこの研究ではナトリウム摂取が極端に少ない人がなく、心血管系疾患リスクがU字型を示すかどうかについては不明です。
平成28年7月14日
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