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食物中の炭水化物について

糖尿病食事療法の中で炭水化物について考えてみたいと思います。今回は総論です。

(1) 炭水化物の割合(歴史)

炭水化物は血糖に直接影響します。

「血糖を制御するためには炭水化物の摂取をコントロールしなければならない」


糖尿病の薬のない時代、血糖コントロールは食餌によるしか方法はありませんでした。そのため初期の糖尿病食は極端な炭水化物制限食でした。極端な炭水化物の制限は、さらに飢餓療法(アレンが確立)へと進んでいきます。

こういった食餌療法が身体に良いはずはありません。食餌療法を守った人ほど命を落としたとまで言われています。それが1920年以降、徐々に炭水化物の制限が緩み、三大栄養素のバランスがとれた食餌療法に変わってきたわけです。

我国における糖尿病食餌療法の歴史を見ても、世界と共通です。

(1) 炭水化物厳重制限食時代
(2) 炭水化物制限緩和・混乱時期
(3) 食品交換表の時代  の時代があります。


最近、炭水化物を極端に制限した食事(低炭水化物食)が提唱されています。なんだか振り出しに戻ったようですが、アメリカ糖尿病学会は減量のための食餌療法として2年に限り認めています。

(2) 炭水化物の種類

炭水化物は全て同じように血糖に影響を与えるのでしょうか。

単純糖質も複合糖質も同じ速度で消化吸収されることがわかっています。炭水化物が血糖に影響を与えるなら、「食品中の炭水化物を(種類を無視して)合計し、その炭水化物量を基に血糖を制御しよう」、「インスリン注射の単位数も食品中の炭水化物量で決定しよう」と考えるのも素直な発想です。この考え方がカーボカウンティングです。カーボカウンティングでは炭水化物のみに着目します。そのため食事療法が単純化され、特に1型糖尿病の方で食餌療法の自由度が大きくなります。

しかし同じ炭水化物量であっても、全ての食品が同じような血糖の上げかたをするわけではありません。血糖を上げにくい炭水化物食品、上げやすい炭水化物食品があります。この指標がグリセミックインデックスです。実際の摂取量も考慮した指標はグリセミックロードです。グリセミックインデックスは基準食と比較してどの程度血糖が上昇するかを示します。グリセミックインデックスに着目すると、単純に食物線維を増やすより血糖コントロールが改善します。


平成24年4月7日

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